唯一の正解はない

患者さんが抱える問題点に関してリハビリテーションとしてこれをすれば絶対に大丈夫だという唯一の正解は多くない。患者さんの持つ運動機能や認知機能、そして生活環境を考慮しながらああだこうだと解決するための手段を考えて、いくつかの手段を提案し、安全性を配慮しながら試してみることがどうしても必要である。

 

しかし多くの人々が解決策手段というものはただひとつだと思いこんでしまい、それをリハビリテーションとして期待されることがある。そういった時に重要なのは、完全な解決策ではないが、徐々に解決に繋がっていけそうだなという思いを持ってもらえるような提案やサービスを提供することだ。

 

プロだから絶対に問題をすぐにその場で解決しなければならないという考えは「プロフェッショナルとは」という系の本やセミナーで売り文句としてよく耳にする。しかしそんなすぐに解決できる手段だけ転がっているのが本当の仕事ではない。「こんな問題、どうすればいいの?」と焦って、必死になって考えなくてはならないことの方がずっと多い。

そんな時に唯一絶対の解答があるなどと思っては自分を追い詰めるだけだ。

 

徐々に解決に近づいていく提案をして、試行錯誤の中から解決策のひとつを作り出すのだと思って働いている。そうでなければ答えを求めて誰かに頼り続けるだけの療法士となってしまう。当然その解答に近づくためには先人の知識や自分の痛い失敗も必要だ。