名前と経験でお客さんを得られるか?

リハビリテーション療法士で仕事場を変えたいと思った時、入職希望先の履歴書等にこれまでの経歴や管理職経験等をほとんどの人たちが書くと思うが、大部分の採用担当者はそれらに価値を置くことはないだろう。かえってそういった大々的な経験は煙たがられることになる可能性さえもある。

 

まず療法士は名前で患者さん(お客さん)を呼べることはない。名医なら別かもしれないが、名療法士など誰も知らないし、知るすべがない。患者さんの多くはケアマネージャー経由で紹介されてくるし、それ以外はネットでの検索や保健師さん経由である。したがって、病院等で管理職をしたりベテランであったりしても患者さんを獲得することはまず無理(=稼げない)、全くの一からのスタートである。そういう状況であるから、給与もこれまでの経験等は加味されることはない。年齢を考慮した平社員相当となる。それを知らずに管理職手当分までを加味しろと言われても無理なのだ。

 

では何が利用者を獲得する要素となるかだが、営業職と同じく人柄、コツコツと積み上げた実績と信頼である。だからある地域で十数年働き続けている療法士は直接ケアマネージャーから依頼が来るし、明るく元気で人受けの良い療法士にも依頼が集まってくる。つまり国家資格をもって働いているとしても最後には営業力が決め手となる。

 

そんな世界だからこそ生き抜く力は人によっては鍛えられ、やればやるほど成果を挙げられる人材になれる可能性がある。少なくとも患者さんを相手にする臨床という現場、特に病院名前やそこにいる医師の名前など存在しない訪問リハビリテーションの現場で働くには療法士としての知識や技術は平凡でもいい、それよりも営業力の方が圧倒的に重要となる。