医師がトップにいるとやっぱり引き締まる

病院では患者さんに対して主治医を中心にした医療職がチームを成して治療を行う。それぞれが専門的な知識と技術を持っているのでそのまま放っておくと、自己主張がぶつかり合って悪い方向(それぞれの専門職が患者さんと自分たちだけのことにだけ関心を寄せて結果として全くバラバラの方向性を向いてしまう)にも行ってしまう可能性がある。そこに医師という医療職の中では頂点(こう言うと語弊があるかもしれないが事実)がチームのリーダーとしてしっかりと存在すると、皆がいい緊張感を持ちながら、しかも医師が間に入ることで他職種の意見や考え方にもしっかりと耳を傾ける。

 

ところが訪問サービスでは訪問看護指示書は一応患者さんの主治医から出されてはいるが、医師の積極的な介入は稀である。そのため担当者会議等で他職種同士意見を交わすことはあるがどうしても患者さんの療養について今後の方向性が曖昧になってしまう。そこはある種強引にでも医療的見地から目標を作り、それに対して自分たちが何が出来るのかを考え、患者さんにサービスを提供する中で目標も微修正されてより良い方向へと向かって行く。

 

チームは基本的には互いに同等の立場ではあるが、それをまとめるためのリーダーの存在が不可欠である。なかなか医師というリーダーがしっかりと存在しにくい訪問サービスでは、どうそれを補うかが課題だ。もちろんケアマネージャーというその名の通りのマネージャー役がいるにはいるが、彼ら彼女らのバックボーンによってはなかなか高度な意思決定が難しいし、ピント外れになることもある。どうしてもケアマネージャーが患者さんの単なる御用聞きになってしまい、他からの意見に耳を傾けられなくなるケースも私自身何度か経験しており、こういうケアマネージャーとは正直つき合いたくはない。医師がリーダーになっての在宅医療チームが一番の理想だが、それが難しいとなった場合新しいチームワークの有り様を模索する必要がある。