どんなに必要でも所詮は雇われ人

「こんなに高齢者が多くなってきたのだからもっと介護や医療の人に高待遇すればいいのにね〜」。患者さんから時折聞く内容である。まあ患者さんも本気でそう思っている訳ではなく、哀れに見える私たちに向けたなぐさめの言葉かもしれない。

 

しかし働いている医療・介護業界の人間の中には本気でそう思っている人間もいるようだ。必要とされる仕事で、必要な仕事をしているから、給与も上がっていくべきと。ただほとんどの事業所利益を追う組織であり、普通の会社と同じである。そしてその経営者にとって、利益こそが最も優先されるものである。一方で保険制度下で行われている限り、もはや右肩上がりの報酬は不可能だ。それどころかいかに報酬を下げていくかを検討されて来るのがこれからの現実である。そのため利益を上げるどころか維持するためにいかに人件費を下げるかがこれからの事業所経営者の腕の見せ所となってしまう。

 

公的保険料や税金で支えられているサービスであり、雇われ人である人間が得られる収入はもう既に限界だと思っている。必要な仕事だから、真面目に仕事に打ち込めば収入が上がるというのはもはや遠い過去の話となっている。そういう現実は知りたくはないかもしれないが、知っておいた方がいい。