筋肉の硬さについて

患者さんに時々言われるのが「(筋肉が)硬くなってませんか?」という言葉である。正直に言うと私の場合、脳卒中などの中枢神経疾患の患者さんでない限りとくに筋肉の硬さには注意をしていない。

それでも少なくない患者さんが筋肉が硬くなっていないかが気になるようである。思うように力が出ない、歩くのにふらつきがあるなどがあると筋肉がそういう状態になっていると思う人がいるようである。これはテレビなどで「筋肉が硬くなっている」ことで肩こりなどの体のトラブルが起きていると思わせるような表現がされているからだろう。

 

しかし私にとっては筋肉の硬さは体のトラブルにとってそれほどの指標にはならない。脳卒中などの中枢神経疾患の患者さんに見られるような問題だと考えられる筋肉の硬さは、通常の硬さとは異質のものである。また、その場合は筋肉そのものの硬さよりは筋肉が骨にくっつく部分である「腱」の硬さ自体に注意している。だから多くの場合、「(筋肉が)硬くなってませんか?」と尋ねられれば、「大丈夫です。特に○○さんのように自分でトイレに行ったり動けている人の場合はそうそう簡単に筋肉は硬くなったりはしませんよ」と答えている。

 

それでも療法士の中には、筋肉の硬さを言う人たちも多くいるので、申し送りなどでそのような説明を受けたときには聞き流しているのが事実である。もしかすると、私の触診技術の未熟さが原因なのかもしれないが。