空白期間

訪問リハビリテーションをさせてもらっている患者さんの中には、数年来の経過で膝や足関節に大きな関節の可動域制限が生じてしまっている方がいる。そういう方達の多くが発症後、リハビリテーション病院に入院し、その後自宅に戻ってからの経緯がよく分からない。リハビリテーション病院では立ったり、歩いたりといった練習もしていたのというのだから、そのままリハビリテーションを継続していれば、少なくともひどい関節可動域制限は起きていなかっただろう。それが訪問してみると、すでに膝関節に伸展制限が大きくみられ、立つのも難しくなっていたり、足関節に背屈制限がみられて足底をつけて立つのが難しくなっているという状況を目にすることになる。

 

その空白期間に何があったのかは分からないままである。患者さんからの情報は抜けがあるし、主治医のいる医療機関でも分かるのは病名と現在の服薬状況などが主である。

もし最低限関節可動域さえでも維持されていれば、再びしっかりと立つ練習や介助で歩く練習ができたはずである。立てなくなったから訪問リハを依頼してきたという理由は確かに分かるが、その原因が体の構造自体に変化が起きている関節可動域制限(あるいは関節拘縮と言った方が良いくらいにひどい状況)である場合、リハビリテーションによって
得られる効果というものは正直に言ってかなりシビアである。