聖人ではいられない

リハビリテーションをしていてどうしても合わないなという患者さんや家族はいる。

 

患者さんついては暴力や暴言のある患者さん。リハビリテーション医からは、そういった問題のある患者さんの言動は、高次脳機能障害認知症精神疾患など病気によって起こっていることもあるから絶対に怒りの感情を抱いてはいけないと新人の頃に言われた。思えば私に暴言を吐く患者さん家族も何らかのメンタル面での問題を抱えていたなと今からなら思える。

 

虐待などは絶対にあってはならない。患者さんと医療者では意識するしないに関わらずどうしても明らかな力関係の差がある。立場的には圧倒的に患者さんの方が弱いからである。しかし暴力や暴言を受けるとたとえ一瞬であろうとも心が折れる。だからどうしても正論をかざして相手に納得してもらい、自身の正当性を主張してしまうのだが、大抵無駄な行為となり、火に油を注ぐことになり後には後悔の気持ちが残る。

 

今でも時々そういった後悔の気持ちを持つ出来事はある。しかし私自身も人間であり、患者さん自身も人間として向き合っているからこそ、患者さんからの暴力や暴言に対しては、その行為は間違っていると言ってしまう。そしてまだまだ未熟な療法士であると再認識する日々である。