専門家と非専門家

最近はネットから多くの情報を得られるようになったが、その信憑性が問題となっている。特に病気にかんする情報に関しては、いろいろトラブルにもなっている。

 

先日も担当している脳梗塞の患者さんが、「これの良い使い方を教えてください」と言う。差し出されたものを見てみると、テレビCMでも見かける電気刺激による筋トレマシーンであった。なんでも息子さんがネットでいろいろ調べて、座っているだけでも筋力をつけられると思い、親のために購入してきたらしい。

 

確かに筋力は重要である。しかし、筋力がなぜ落ちているのかについては、患者さんそれぞれに理由がある。単純に筋トレ的なメニューをこなすことで筋力を上げられるのは、病気が原因ではない人たちである。何らかの病気が原因で筋力が落ちてしまったのなら、その原因を考えた上でのリハビリテーション(トレーニング)が必要である。それを考え、行っているのが専門家である療法士である。

 

そこのところを伝えたかったが、子が親を思い、考え、探して購入してきたモノである。「あなたには意味がないですよ」と非情に振る舞う必要はまったくない。利用することでの逆効果も考えられなかったので、その場ではどこの筋肉に取り付ければその人にとって一番良いかを伝えさせてもらった。その後、その筋トレマシーンは箱に入れられたままタンスの上に置かれてたままであることは予想通りではあった。

 

リハビリテーションは見ていると正直華やかさはなく、地味である。しかし、その裏には専門家としてのいろいろな考えがあるのだ。

ネットによって手軽に簡単な知識が手に入るようになったとしても、それぞれの専門家はそれ以上の知識と考えによって物事を行っている。