運動不足が原因ではない

時々だが医師から歩けなくなった原因は運動不足だから訪問リハビリテーションでもやってもっと運動しなさいと言われ開始となる患者さんがいる。

 

寝たきり状態なら廃用性の筋力低下やそれに伴う歩行障害が生じることはある。しかし自分で起きて、立って、トイレに行くという最低限の生活動作を行っているのであれば、運動量の不足からくる筋力低下など起きない。

 

そしてそういった患者さんを訪問してよくよく評価してみると、明らかな運動麻痺が生じていることがある。陳旧性の圧迫骨折が悪化して腰髄に問題を起こしたものや、原因や経緯は不明なものの末梢神経障害を起こしたものなど、とにかく運動不足などが原因ではなく何らかの疾患によるものからくる筋力低下や歩行障害である。

 

その場合には、まず筋力低下の原因が運動麻痺から来ていることを患者さんや家族に伝え、しっかりと主治医診断してもらうことを勧める。診察し、診断名をつけるのは医師だからだ。それでも多くは診断名がつくことなく、訪問看護指示書や患者さんへの説明には、筋力低下があるのでリハビリテーションをという内容のことがほとんどである。