技術で生活は変わる

ALSの患者さんを病院や訪問で担当することがあった。ALSは徐々に全身の筋肉を動かすことが全くできなくなる病気で、リハビリテーションとして最終的にできることは数少ない。

 

その数少ない中でも、福祉機器を工夫して本人の生活の質を維持することはとても重要であった。例えば手が動かせなくなると、テレビも音楽も自分の思うように見たり聞いたりすることが出来なくなってくる。だから、スイッチを押すだけでテレビなどの機器を操作できるようにあれこれ考えたりもしたことがある。

 

現在米国ではすでに大きなブームとなっている"AIスピーカー"なるものがいよいよ日本でも発売され始めた。簡単に言うと、スピーカーに「音楽をかけて」や「メモしといて」、あるいは「何時にアラームを鳴らして」と話しかけると実際に「分かりました」と返事をしてその通りにしてくれるのである。

 

今となってはもし手足が動かせない体でも生活を便利にさせることができるようになった。数年前までは考えたもつかなかったような技術である。そう遠くない将来には今では考えつかないような技術によって難病の患者さんの生活の幅を広げてくれるだろうと確信している。