終の住みかについて

訪問リハビリテーションの患者さんで最近増加傾向なのは、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)や老人ホームに住んでいる人たちである。一方でこれまで過ごした自宅で暮らしている患者さんはまだまだ多い。高専賃や老人ホームと従来の自宅で暮らしている人たちの違いはと言うと、身体的な介護度の大きさと言うよりは、認知症の程度や判断力の低下がその分かれ目になっている印象である。

 

身体的な理由で介護が必要な場合、訪問介護訪問看護等での日々の生活は何とか維持できている。しかし、認知症などにより理解力や判断力が低下した場合、誰もいない状況というのがかなり問題となってくる。それは生活行為の問題ではなく、深夜に出歩く、外出したまま帰り道が分からなくなり警察の保護を受ける、本人は自覚していないものの近隣への迷惑行為があるなどまったく性質違ったものである。

 

その場合生活空間自体を管理する必要があり、結果として高専賃や老人ホームが終の住みかとならざるを得なくなる。終の住みかがどこになるのかは、体だけの問題ではない。高齢になるほど認知症になる可能性はずっと高くなり、今のところ終の住みかとしては高専賃や老人ホームがもっとずっと多くなる。そうなると訪問リハビリテーションの患者さんの割合も今とは逆になる。