手すりの設置で注意していること

訪問リハビリテーションでは、患者さん宅の手すりの設置位置を相談されることが時折ある。運動麻痺があったり、浴室や浴槽の出入りに工夫が必要な患者さんはもちろんだが、認知症の患者さんの場合にも注意が必要だと実感している。なぜならば認知症の患者さんの場合、「こういうふうに出入りするようにして下さい」と伝えても理解が難しかったり、下手をすれば逆に動作を混乱させてしまう可能性があるからだ。

 

今は、「お風呂に安全に入れるように手すりをつけようと思っているので、いつもお風呂に入っている様子を見せてください」と伝える。そしてなるべく普段の動作を引き出せるようにして、どのように入っているのかを確認し、どこで手をついているかなどを把握して手すりの位置をアドバイスしている。そして家族の方にも普段の様子を何回か見てもらい、その時にもアドバイスした位置に手をやっているかを確認してもらっている。

 

印象としては手すりなどは普段から私たちの身の周りにあるので、認知症の患者さんでも手すりが見えるとすっとごく自然に手が伸びてそれを使われる。一方で浴槽の高さを軽減するための浴室用の介護いすなどは、上手く利用できないことがあり結局無駄になる。