無駄なストレスは早めになくそう

訪問リハビリテーションの仕事をしていると、病院で働いていた頃と違うストレスのひとつがクレームの数である。そしてそのクレームのほとんどが、コミュニケーション不足によるものなのだ。

 

病院では主治医を含め、担当する患者さんについての話を病棟看護師やソーシャルワーカーなどとカンファレンスや日頃のちょっとした時間にすることができる。しかし訪問リハビリテーションでは、訪問という性格上なかなか患者さんに関わる人間が顔を合わせて密に話し合う機会がとれない。サービス担当者会議というものもあるにはあるが、数ヶ月に一回という頻度であったり、他の訪問サービスと重なって参加することができないことも
多い。要するにコミュニケーションスキルと呼ぶ前の段階である。顔を合わせての話し合いの時間が少ないという単純なことであるがそれが結構大きな問題ではある。

 

患者さんに言ったこと、他スタッフに言ったこと、ケアマネージャーに言ったこと、療法士に言ったこと、その全てが直接のやり取りではなく、誰かが間に入っての「また聞き」状態になり、不正確な内容や意図したこととは異なる内容で伝わってしまい、やがてクレームになってしまうのだ。そしてそれは恐らく誰もが気づいていることではあるのだがなかなか解決策を見いだせない状態である。ただしこういったコミュニーケーション不足によって生じる問題を出来るだけ大きくせずに、冷静に捉えていく方法がある。それは、自分自身が直接見聞きした事以外は、話を半信半疑の状態で頭の中に留めておくという方法だ。決して他者から見聞きしたことをそのまま信じて、行動するという反射的な行動はしないことだ。そして出来るだけ当事者同士が顔を合わせて話せる状況で事の真偽を確認する方がいい。そうしないと、無意味に敵を作るだけの結果となってしまう。

 

だれもが患者さんのことを一番に考えて働いているからこそ無意識のうちに患者さんの言葉をまず第一に信じてしまい、知らず知らずのうちに事実とは違う解釈をしてしまう危険性を抱えている。しかしその背景はもっとずっと複雑であることもある。こう考えるとコミュニケーション能力が重要なのは間違いないが、まずは顔を合わせて話す機会を作ることがそれ以前に必要なのだ。訪問医療・介護のサービスでの無駄なストレスをなくす一つの方法としては困ったときにはとにかく多くの人を巻き込んで、話し合う機会を設けることだと感じている。

 

訪問はどうしても一人での活動がメインとなるからこそそれが問題でメンタルでやられることも多くなる。自分一人で解決しようと問題を抱えておくのは止めておくにかぎる。