対人関係が苦手な私だが

私はもともと対人関係が得意なほうではなく、むしろ苦手な方である。療法士になって仕事を始めた当初は、患者さんは「怖い」存在だった。まだまだ病気や病院での治療(点滴の管、留置カテーテル、酸素投与中の患者さんたちは実習で見学した程度)のことも、リハビリテーション技術も知識も浅く、自分よりずっと年上の人とのコミュニケーションも慣れていない状況だらか当たり前だ。

 

そのうち徐々に病院で働く事にも慣れ、リハビリテーションもそれとなくこなせ、コミュニケーションにも慣れてきた時には患者さんは、「何よりも第一」な存在となっていった。とにかく自分の担当患者さんのことを
何よりも考え、時には過剰な感情移入も起きていた。言い過ぎかもしれないがこの患者さんのために自分は生きているという具合だ。
しかし感情だけが行き過ぎたため、患者さんからのお叱りや同僚や他職種からの注意・助言に対して「こんなに一生懸命にやっているのに」というつまらないプライドのため、落ち込むこともあった。そして自分のミスをしっかりと認められず、次にどうすればいいのか精神的に動揺して再び患者さんが「怖い」存在となることになった。


そういった経験の中で患者さんは一人ではない事、自分の担当者だけでない事、求められているのは感情移入などではなく、療法士として医療職として患者さんを回復させるサービスをすることであると考えれるようになった。働き始めはどうしても医療職ということで患者さんの気持ちを推し量るということを
第一としなくてはならないと思い込んでしまっていた。優しさは大切であるが、それは医療職に限らずどんな仕事でも同じであり、それ以上に客が自分のサービスから受け取るメリットを最大限にすることが重要だと、働く上で当たり前ともいえることを意識し始めてた。それからは、患者さんは自分の仕事の「大事なお客」だと考え、働くようになった。それからは対人関係が苦手な私でも何とか働き続けることができている。